カハラデビューを果たした私は、場違いにもほどがあるほど、大騒ぎでいただいてました。今西さんも、「あんたみたいに喜んでくれたら、連れてきた甲斐があるわ」。それでもオーナーも森さんはにこやかに、小さな質問にも丁寧に答えてくださいます。それがやはり一流というもんです。
さて、後半の最初は、春菊とみょうがのサラダです。トッピングは蕎麦の実の煎ったものをクラッシュしたやつで、これが驚きの食感でした。おそらく今回の流れのなかで一番、コストも手間もかかってないこの野菜が、こんなにいとおしくみえるのはなぜなんでしょうか。
そしていよいよクライマックスへ。カハラの基底をなす鉄板焼きです。ロースを重ねたミルフィーユに生ワサビをたっぷりつけて、いただきます。つけあわせには、金時菜、絲瓜、台湾のA菜、野菜とお肉の豊かな競演。でも一番の感動は、ありふれたニンニクでした。バターでじっくり炒め揚げしたニンニクチップは、色も形も見事な薄片で、これとワインでも十分幸せなくらい、丁寧な仕事です。 メイプルの木べら2本使いで焼く、森さんの手元にも注目!
お肉のあとは、松茸と玉子豆腐のお吸い物。
そして椎茸ご飯へ。 私の顔くらいあ香川の椎茸、こうして現物をみせてくださって、ミュージアムにいる気分ですよ。台湾のA菜も、(B菜はないそうですが・・)現物の勢いをみせてもらうと、よりうまさが増します。
デザートはブラマンジェ。岡山のイチジクの原種がアクセントになっていて、アカシアハチミツのカラメルが感動的。さらに敷き紙をかえて、こんどは20世紀梨のジュース。ベルギーの真っ白な磁器にミキサーにかけた梨。
蕎麦の塗りも素晴らしくて、おたずねすると森さんが塗ったというほど、器がまたすごいのですが、押し付けやたいそうないわく付きを出さないとこがカハラの品格を上げています。
こうして、メインのあとにもズルズルと余韻をだしてくださるのは、女性にはとくにありがたいです。お昼も来年まで奥様方で予約いっぱい、というのは当たり前ですね。
そしていよいよコーヒーかな、と思ったら、なんとなんとチャイ! さらにカラフルなウイキョウの砂糖がけがハート型にはいってるのも嬉しいのですが、冬瓜をワインで煮て、チョコレートがけしたオーラスのお菓子が、今年食べたお菓子のなかのグランプリとなりました。
こうして来月お誕生日を迎える、社長と私の楽しいお食事は幕を閉じました。 黒文字の包みには兎とすすき。いたるところに森さんテイストが愛らしくひそんでいるので、うわ~の連続でした。
おみやげには、あのハーブの小枝塩と台湾落花生。森さん登場のサントリーの雑誌もいただきました。来月も期待ですが、この余韻は10年くらいもちそうですよ。森さんステージはそれくらい緻密で、豊かで、ドキドキわくわくで、素直においしいのです。