和久田哲也
TETSUYA シドニーテイスト
柴田書店
2005.8.5
カメラの師匠でもある森枝さんから、自家製「トリュフバター」をいただいた時、その場でなめて、「トリュフ」であることがわからなかった。
すると「テツヤのレシピで作った高級品なんだからね・・・」と、森枝さんは真顔で怒っていた。森枝さんの会話によく登場する和久田哲也氏。世界の有名レストランに名を連ねるオーナーシェフだ。
でも私はまだ、TETSUYAで食べてないから、そのすごさはわからない。わからないけど、この本から、哲也さんの人柄や、食べること、食べさせることの熱意、食材への創意が伝わってくる。
哲也さんがお気に入りの大阪の店は、私も何度かおじゃましてるから、シドニーテイストのニュアンスは想像できなくもない。
が、サーモンの代わりだったオーシャントラウト(表紙フォト)をじっくりオイルで加熱する料理実験的な調理や、小麦粉のかわりに、コーンスターチと極微粒グラニュー糖でガトーショコラに挑戦するところなど、おそらく並のパッションでは立っていられない厨房が、TETSUYAたるゆえんなのだと思う。
10月、アデレード大学で講演する森枝さんに合わせて、TETSUYAデビューしたかったが、スケジュールがかなわず、オーストラリアはいつになるのやら。
いやそれまでに、もっとタフになって、相当な覚悟でもって、TETSUYAのエントランスを臨まなくては、と気合を入れすぎて、十八番「オーシャントラウトのコンフィ、ウイキョウのサラダ添え」のオーダーを、忘れないようにしたい。