石毛直道編
ドメス出版
昭和48年第一刷発行
私の食研究の最初は、やはり恩師石毛直道先生の本が入り口でした。
今では、恩師といいたい放題にさせてもらっていますが、当時は雲の上の大先生で、お会いできる人とも思っていませんでした。
先生がたくさん出された著書のなかで、当時一番活用させてもらったのが、この本です。
中尾佐助先生、梅棹忠夫先生、篠田統先生・・・京大の人文研の廊下ですれちがうことはできても、なかなかお話できない先生方が、食事文化研究について議論されていますが、一般社会では、食について語るなどほとんどないとき、特異なテーマ設定だったのかもしれません。
食事文化という言い方も、食文化という表現以前の言葉として、懐かしくさえあります。
巻末の世界の主作物とその食べ方の分布図など今でも貴重です。広い地球のことは、まだまだ未知の部分が多く、ましてや何をどうやって食べているか、なんのために、どういう意向で食べているのか、そんな食を文化としてとらえる視点。先生方の研究のおかげで、現在の食をみつめることの重要性につながっているのです。